4. 術前抗癌剤治療開始。 2023年12月~2024年2月

抗癌剤治療中の筋肉トレーニング 癌発覚から手術

膵臓癌の術前に使う抗癌剤は点滴で行うアブラキサン+ゲムシタビンか胸にポートを埋め込み手術をした後に行うフォルフィリノックスの2種類だが、I先生は埋め込み手術等不要で早く治療開始が出来るからという事でアブラキサン+ゲムシタビンを選択した。どちらの抗癌剤も強めの薬であるため副作用が出る可能性は高いが、アブラキサン+ゲムシタビンの場合は、発熱・食欲不振・吐き気・手足のしびれ・脱毛・白血球減少等が起きる可能性があるとの事。 

ネットで調べると、抗癌剤の為に気分が悪くなり寝ていないといけなかった、食事が取れなくなったといった話も聞こえてくる上、副作用が辛くて抗癌剤治療が続けられないという話もよく聞いていたので、正直かなり不安を抱えての抗癌剤治療の開始であった。特に副作用としてQOLに影響を与えるのが手足の痺れとの事。足が痛くて歩くのも辛くなったり手が痛くてパソコンを打つ事も出来なくなる事もあるとの事。しかし同時に人によっては殆ど副作用が出ない事もあるという話も聞いていたので、何とか副作用は出ないでくれと祈っていた。12月下旬に退院した後は家からのテレワークではあるが普通に仕事を再開しており、1月には仕事がかなり忙しくなる予定だったので、不安を感じながらの抗癌剤治療の開始であった。 

ネットの情報では気持ちの持ち方や瞑想も抗癌剤の副作用防止に効果があるという話を聞いていたので、最初の抗癌剤の点滴中は瞑想しながら抗癌剤は癌にだけ働きかけ自分の体に変な副作用は起こさないと念じ続けていた。ただ、点滴中に針の刺さっている血管に痛みを感じ始めていたのだが、それほど強い痛いでは無かったので我慢をしていたところそれが失敗。点滴が終わる頃には血管が腫れてしまい、かなり強めの塗り薬を塗らないといけなくなってしまったのだ。痛くなりそうな場合は温めながら点滴すると血管痛が抑えられるとの事で、その次の回からは腕を温めてもらいながら点滴をしてもらったのだが、それ以降は点滴による血管痛が起きる事は無かった。

又、筋肉トレーニングを行う事は癌への免疫力強化に効くだけでなく抗癌剤の副作用抑止にも役立つとの事だったので、連日のトレーニングも継続する日々を過ごしていたが、瞑想とトレーニングの効果か幸いな事に気分が悪くなる、体調が悪化する、手足がしびれるといった副作用は殆ど起きず、2週間後に脱毛が始まってしまったが、それ以外は大きな問題無く日常生活を送り仕事も通常通りにこなす事が出来ていた。抗癌剤を打った当日・翌日あたりは多少食欲が落ちるのだが、しっかりと体を動かし汗をかくと却ってすっきりとして体調が戻るので、抗癌剤を打った翌日も休まずにトレーニングを続けるようにし、出来るだけ汗をかくようにして日々を過ごしていた。

友人の癌サバイバーからは手術をすると体重が劇的に減るから手術前にしっかり体重を増やしておけというアドバイスがあり、I先生からもある程度体重を増やすのは良いことだという話があったので、この時期に食べたいものを食べ2ヵ月で7キロほど体重を増やしたが、これも抗癌剤による副作用での食欲不振がなかったのが幸いした。

アブラキサンとゲムシタビンの点滴治療は、一回2時間ほどの点滴を週に1度3週にわたって行った後1週休みを入れるのが1クールで、それを術前治療としては2クール行う予定なのだが、毎回点滴の前に血液検査を行い点滴治療が出来るかどうかの確認を行った上で点滴治療の内容を決めるというのが進め方。 抗癌剤の副作用として白血球の減少というものがありある程度以下に減ると感染症の危険があるので、その場合は抗癌剤の量を減らしたり治療そのものを休んだりしないといけないのだが、幸いなことに私の場合は一番白血球が減った時でもギリギリ通常量の点滴が可能なレベルで留まったので、2クール全てを通常通りの量の抗癌剤点滴で完了。2月上旬に手術が可能かどうかをCTで再度確認したが、抗癌剤の効果か膵臓の癌も多少小さくなっており、肝臓の影も見えない状態だったのでこれで手術が可能という判断となった。

不安な気持ちで始めた2ヵ月の抗癌剤治療であったが、幸いにも日常生活に影響が出るような副作用は起きず、癌にも効果があったのでまずは一安心。

ただ、膵臓癌の場合手術の後も6ヵ月ほど抗癌剤治療を続けないといけないので、これで抗癌剤治療が終わりというわけでは無かった。手術の後は飲み薬の抗癌剤に変わると聞いていたので、外科医の方に手術をしてもらった後の抗癌剤治療は又内科医としてI先生がやってくれるのか質問したところ、術後の抗癌剤治療は外科医がやるとの事。術後にまた内科医のところに来るのはあまり良くない結果の場合だとの事だったので、これでもう今後I先生とは会う事がない方が良いのですね、と言ってI先生との手術前最後の診断を終えた。 

I先生は本当に信頼できる方で、2ヵ月近くの間自分事の様に私の改善状況を喜んでくれ、このお医者さんと会えて本当に良かったと思える方だったで、もう会う事が無いのは残念だけどこれで最後だとこの時は思っていた。
まさかその半年後にはまた毎週のようにお会いする事になるとは思わずに。

コメント